最近メディアで頓に喧伝されているのが、人生100年時代が到来するということである。
2040年には日本人の3人に1人は65歳以上の高齢者になるらしいが、これからは人間は現時点の平均寿命の80歳代を超えても簡単に死ねない時代が来るらしい。
突然国からこんなことを聞かされた国民は大慌て、人生80年でもその準備をどうしようと悩んでいたのに、急に寿命100年を生き延びろといわれてもどうすればいいのかわからない。
かくして高齢者の消費活動はますます抑制される結果となり、さらにお金を貯め込む動きが顕著になっているらしい。
昨今の高齢者パワーは凄まじいものがある。
国内外の観光地へ行っても、ジムへ行っても、映画や芝居を見に行っても、スポーツ施設へ行ってもどこもかしこも高齢者だらけである。
彼らの人生をとことん楽しもうとする意欲は、昨今の20~30代の若者の極端な低欲望ぶりに比してみると余計に際立って見える。
一方で今後高齢者の仲間入りをする現在40~50歳代の働き盛りの予備軍に対しては、年金制度の崩壊やさらに伸びる定年後の老後人生に備えて、リタイア後も出来る限り長く働けという論調が多くなっている。
確かに定年後に20~30年の人生があれば退職金や少々の蓄えがあっても足りないし、その時間たるや膨大で、家でごろ寝してのテレビやたまのゴルフや温泉旅行で潰せるものでもないだろう。
だからこそ今のうちからキャッシュを稼ぐための起業準備や人生を積極的に楽しむ計画をしておけという訳である。
しかしながら私に言わせれば、ふざけるなと言いたい。
これまで30年以上も懸命に走ってきて、やっと定年というゴールが見えてきたと思ったら、「いや、ゴールはずっと先へ移動しました。」と突然距離の延長を告げられたのである。
アホらしい。
私は定年後は隠居して年金で悠々自適に過ごし、リタイヤしてから10~15年前後で静かに人生を終える昔の老後生活パターンが羨ましい。
「人間そんなに長生きして、必要以上に張り切る必要があるのか?」と正直思う。
私はこう見えても生来無類の怠惰な性格で、現役時代もかなり力抜いて生きてたタイプだから、リタイヤしたら日がな一日何にもせずゴロゴロしたい人間である。
もうこれっぽっちも何かに頑張るなんて気なんてありません。
これまで何十年もまじめに働いて、年金納めてきたんだから。
国が年寄りに「働け働け」とけしかける理由は、これまでの失政によって回避しようがなくなった年金制度の破綻をごまかすための国の陰謀ではないのかと勘ぐりたくなってくる。
百歩譲って、歳を取っても働きたい人は大いに働いて頂いて結構だと思うが、「働かない」と選択した人も普通の生活が送れるように国がちゃんと保障しろ。
少なくとも後期高齢者には、きちんと自立した生活を求めると同時に、金の心配をしなくても済むような「北欧型の福祉制度」を導入しろ。
我々の先輩の世代はそれが可能だったのに、なんで遅く生まれた人間が割を食うような事態を国は他人事のように放置するんだ。
こういう事態になることは、何十年も前からわかっていたことじゃないか。
バカヤロウ!
な~んて怒ってみたところで詮無いことである。
国を批判したところで、こんな仕組みになったのも、それを主導してきた無責任な政治家を選んだのも、突き詰めてみればみんな我々国民一人一人の責任なのだから。
というわけで、これからは無用に長生きして(、、)しまう(、、、)リスクを想定し、知恵を働かせて何とか生活費プラス人生を楽しむためのお金を稼いでいく覚悟を決めるしかない。
健康面と収入面をうまくクリアできれば第二の人生を華やかに過ごせるし、逆に全くうまくいかなければ最後は生活保護にすがるしかない。
こうなったらもはや人生を賭した壮大なギャンブルみたいなものだが、願わくば「ずーっと貧乏なままで思いっきり長生きする」事態だけは何とか避けたい。
これからは定年までに「いかに自分自身でキャッシュを稼げるスキルを身に着けるか」ということが、その後の長い老後人生を生き抜く手段として必須になってくるのだろう。
ほんと、長生きするのも大変だわ。