中年オヤジの典型的なパターンで、3ヶ月に1度の頻度で検査通院している。
5,6年前の会社の定期健診で高血圧、肝機能、脂質異常の指摘を受け、外部の病院を紹介された。
要は「飲みすぎ」が原因の生活習慣病である。
酒なんて昔から浴びるほど飲んできた。
それでも若い時はそれほど影響がなかったが、50歳を過ぎると途端に検査数値が悪化してきた。
長年にわたる不摂生によりジワジワ痛め続けられてきた体が、この時分から悲鳴を上げ始めたのだろう。
今や血圧もγ-GTPも中性脂肪もコレステロールも基準値を大きく上回り、エコー検査の際に医師から「実に立派な脂肪肝です」とお墨付きをいただいた。
現在通院している病院のイヤなところは、一つは検査のたびに服薬を勧められるということだ。
(これは診察する先生によるのかもしれないけれど)
私は既に降圧剤やら抗コレステロール薬やら尿酸降下薬やら、4種類くらいの薬を処方されている。
しかも否応なしに継続的に購入させられるので出費もバカにならない。
この前、主治医はさらに「悪玉コレステロールの数値をもう少し落としたいなぁ。もう一つ薬飲んでみます?」とのたまわった。
どれだけ薬を飲ませたら気が済むのかと怒りを通り越して呆然としてしまった。
最近、雑誌などで、こういった薬の副作用についての記事を目にすることも多い。
私もこんな薬を多く常用するのは絶対体に良くないと思う。
もちろん私に専門的知識は無いが、人間の本能がそう教えてくれているような気がする。
「先生、副作用の問題など、体にとって良くない影響が心配なので、もう薬の服用はやめたいと思います」と医者に向かってきっぱり宣言したいといつも思うのだが、実際はなかなか言う勇気が出ない。
「素人の自分がそんなエラそうなこと言ってみても、生意気と思われるだけだろう。
先生の気を悪くさせてギクシャクするのも嫌だしなぁ」
そう思い、結局はいつものおとなしく従順な患者のキャラを変えられない。
そしてそんな意気地のない自分に嫌悪感を覚え、情けない気分になる。
イヤなところの2つ目は言わずもがな、総合病院などで診察を受けるときの待ち時間の長さである。
まず、言われた通りの予約時間に行っても、なぜかそこから1時間以上も待たされる。
5分や10分なら致し方ないと思うが、下手をするとそこから2時間コースである。
一体何のための予約時間だ?
殆ど予約時間を設定する意味がないのではないか?
当然、患者数が多いだろうから時間が押してくるのは理解できるが、その誤差を見込んだ時間設定にすれば良いわけで、毎日診療業務をしているのだから、それなりの精度で予測できるのではないかと思うのである。
しかしなぜかそういう学習能力の活用は見受けられない。
そもそも改善しようという病院側の問題意識も全く見えない。
そうしてやっとこさ自分の順番が廻ってきたら、診察時間はたった5分である。
私の場合は2,3の質問と血液検査の結果を事務的に説明されて終わり、あっさりしたものである。
しかも医者はこの短時間の中でも、新しい薬の服用を推奨することは決して忘れない。
そのあたりは抜け目ない。
そのあと会計のための計算カウンターへ向かうが、そこでまたさらに待たされる。
処方箋をもらい、自動支払機で会計を済ますがまだ終わりではない。
その次は薬局へ赴き、処方箋を提出、ここでもまたまた待ち時間に耐えなければならない。
そして薬を受け取り、すべての工程を終えるころにはぐったりと疲れ果てて、すっかり具合が悪くなっているという笑えない話である。
現在はこういった待ち時間の解消に何の工夫もない病院とは対極的に、調剤薬局などはかなりIT化を進めているところがある。
病院でもらった処方箋をスマホで撮影してメールで送信すれば、すぐに薬の用意をしてくれるシステムを構築している。
薬の用意が完了すればメールで連絡が来るので、それから店舗に取りに行けば待ち時間はゼロである。
こういうのはそれなりに使いこなせば便利である。
病院にもぜひこういった改善策の実行を望みたいが、多分やらないだろうなと思う。
病院は宣伝もしないのに、顧客が行列をつくる不思議な組織で、提供するサービスは「医療」であるため、医療以外でのサービス向上にはあまり目が向いていない。
「待ち時間を短縮しても、病院の質の向上には結びつかない」という意識で、病院側の改善インセンティブがそれほど働かないのかもしれない。
様々な分野でのIT技術の活用が喧伝されている昨今、これからはこういう技術を有効利用して顧客満足を上げていく経営センスのある病院が増えることをぜひ期待する。
ちなみに私の場合は待合室にタブレットを持ち込んで、待ち時間はひたすら読書である。
日頃時間がなくて読めていない書籍や雑誌やマンガなどをまとめて読む貴重な時間になっているため、それほど待ち時間の長さが気にならない。
時々「いつまで待たせるんだ!」と窓口で怒鳴っている高齢者を見かけるが、病院に来てそんなにイライラしてたら体に良いわけがない。
現在の状況では患者側の創意工夫によって、余計なストレスを溜めないようにするしかないようだ。