最近イラッとすること

最近歳のせいか、イラッとすることが多くなったような気がする。

自分自身のことで言うと、とみに忘れっぽくなったなぁと痛感している。
それは、出かけるに際して持参しなければいけないものを忘れるとか、しようとしていたことをすっかり忘れてしまうとか、くだらない物忘れが多いのだけれど、そもそもは何でも前もって周到に準備しておく性質なので、わざわざ備忘録を用意したりして警戒しているのだけれど、ものの見事に備忘録の存在もろとも忘れてしまった、というようなことが多くなった気がする。
そんな時にはイライラし、周囲に当たり散らしたりしてみるが、すぐに虚しく情けない気分になって、あとは落ち込むばかりだ。
「俺、ついにボケてきたかな?」と急に気弱になったりする。

一方、他人に対して最近イラッとすることの筆頭は、近頃大きな社会問題にもなっている「ながらスマホ」に対してである。

いまや電車の中を見渡すとほとんどの人がスマホ操作していると言っていいくらいスマホが普及している。
総務省の「平成29年通信利用動向調査」によるとスマホの個人保有率は約60%。日本の半分以上の人がスマホを持っており、20代/30代では90%以上、10代では80%がスマホを使っているそうである。
もちろん50代の私も例外ではなく、つい最近機種変更で最新のスマホに変えたばかりだ。

では、日本人はスマホで何をしているのか?
これは各世代共に「SNSを見る・書く」ことに1番時間を使っている。
そして、2016年のSNSの利用率は「LINE」が大半を占めているらしい。
もちろんメールの読み書きやオンラインゲームも上位に来ている。

ん~、何となく想像した通りの結果であり何の意外性もないが、問題はこれらの行為を「歩きながら」「車や自転車を運転しながら」するということだ。

ここ数年は「ながらスマホ」が原因の事故の増加が社会問題になって、違反の厳罰化が強化されているようであるが、だからと言って世間で「ながらスマホ」が減少してきているとは私には思えない。
なぜなら昨日も今日も、道で私の前を歩く若い男性や女性の手にはスマホがしっかりと握られており、皆が皆その画面を見ながらノロノロ歩行しているからである。
そしてそれは確実に私の進行の障害になる。
したがって私のイライラは最高潮に達するのである。

「なんで歩きながらスマホを見る必要があるのか?」
「それほど緊急を要するメールが届いているのか?」
「親戚に不幸があったとLINEで連絡でもあったのか?」

私は心の中で思いっきり舌打ちしながら、今日もそんな「ながらスマホ族」をオーバーテイクしていくのである。

「ながらスマホ」の多い原因については、昨今様々な説や意見がいろんなメディアで紹介されているが、私にはそんな知見や持論はこれっぽっちもないので、気の利いたコメントは一切できない。

依存症の一種であるとか、リアルの生活よりスマホのバーチャルリアルの世界の方が楽しいから、などといろんな原因があるらしいけど、私に言わせればそんなことはどうでもよいし、何の興味もない。
「そんなにスマホに依存したければ、ご勝手にどうぞ」と言うだけである。

しかし、そんな「ながらスマホ族」の身勝手なふるまいで、迷惑を蒙るのは御免だ。
スマホを見ながら階段から転落したり、線路に落ちたりするのは勝手だが、恐らくそれによって多くの他人が何らかの迷惑を蒙ることになる。
ましてや「ながら運転」で追突されたり轢かれたりして怪我でもさせられたらたまったものではない。

私が「ながらスマホ族」に言いたいことはただ一つ。

「そんなにスマホが見たければ、道の端の邪魔にならないスペースに立ち止まって見なさい」
「車や自転車を邪魔にならない安全なスペースに停車させて、それからゆっくり見なさい」
それだけである。

こういう公共マナーが守られない原因の一つは、現在の教育にも一因があると思う。
学校でも家庭でもこういった「公共の場でしてはいけないこと」を教えられていないのだろう。

たとえば別の例でいうと、今の多く学生は、朝の満員電車の中でも平気でカバンを肩にかけたり、リュックを背負ったりしている。
「通勤通学ラッシュでぎゅうぎゅう詰の時は、荷物を手に持って下におろし、人の邪魔にならないようにしなさい」という至極あたりまえのマナーを誰にも教わっていないから知らない。
だからどんなに自分のカバンが人の邪魔になっていようともそれに気づくこともなく、ボーッと突っ立ってスマホに集中しているということになる。

今時はこういう輩にうっかり注意しようものなら途端にキレられて、恐ろしい目に合うという懸念もあり、昔みたいに注意をする大人も少なくなった。
要はこういう公共マナーを教育する場や機会がどんどん無くなってしまっているのだ。

しかし今更そんなことを声高に訴えてみたところで詮無いことであろう。
もう古き良き時代には戻れない。

今の世の中は、たとえ歩道で道を歩くときでさえ、ブレーキとアクセルを踏み間違えるボケ老人の運転する車や、「ながら運転」している車や自転車が突っ込んでこないかを四方八方に神経をとがらせて注意していなければならない。
自分の身は自分で守らなければならない。

一瞬の油断もならないのだ。

何という不条理な世の中になってしまったんだ。

そして今日も私はつぶやくのだ。

「あぁ、イライラする。。。」