Categories: 名店探訪記

新小岩の路地裏の名店『竹屋』

JR総武線新小岩駅の路地裏にあるとんかつの隠れた名店「竹屋」。
通い始めてもう何年になるだろう。

場所的には駅から4~5分の飲食店が軒を並べる細い路地にあり、地元以外の人にとってはかなり発見しにくいような立地だ。
お客さんは純白の暖簾をくぐると、名物お母さんの大音量の「いらっしゃいませ」を2回聞くことになる。
結構なお歳と拝察するが、本当に元気一杯なお母さんがテキパキと接客し、店員さんを采配している。

いつもの通り、まずは冷酒と冷奴、お新香をオーダーする。
奴は大きすぎず小さすぎず、ちょうど良いサイズ。
お新香はきゅうりと茄子、ニンジンの糠漬け、本日はやや古漬け気味で何とも美味い。
子供の頃からおふくろお手製の茄子や胡瓜の古漬けで食うお茶漬けが大好きだった。
食欲が落ちる夏には、これほど有難いものはない。
この店のお新香は大好きだったおふくろの味を思い出させてくれる貴重な品だ。

一杯目の冷酒は冷奴をつまみにちびちび飲りながら夕刊紙を読むのがいつもの習慣。
一杯目のグラスが空くと、おかわりとともにいよいよとんかつをオーダー、本日はロース定食をお願いする。
とんかつが揚がるのを待つ間、お新香の胡瓜をつまみながら更にグラスを傾けているとほどなくロース定食が運ばれてくる。

まずはとんかつを塩と辛子で楽しむ。
かの池波正太郎先生もあちこちで書いておられるが、とんかつと日本酒は本当によく合う。
ここのかつは衣にもうっすら味が付いていて、肉の芳醇な香りとともに酒がすすむ事この上ない。

そしてお酒がなくなると、いよいよご飯を味わう時間だ。
この竹屋のご飯は右に出るものがないのではないかと思うくらい抜きんでて美味い。
富山産コシヒカリを使っているらしいのだが、何と言っても炊き加減が秀逸なのである。
どろっとした黒い自家製ソースをからめたロースかつと合わせても、濃厚な味の古漬けと合わせても、このご飯はおかずと渾然一体となってその旨みを主張する。
どんなに食欲が無いときでもおかわり必至のご飯だ。

そして締めは茄子のお新香とご飯と味噌汁の絶妙のハーモニーを堪能する、まさに至福の時間である。
日本人で良かったと痛感するひと時である。

素朴で飾り気は無いけれど、何度食べてもまた食べたくなる美味さ。
とんかつはもちろん、串カツも海老ふらいも、そして冬場はカキふらいも絶品。
ご飯もお新香も味噌汁もすべて絶妙なバランスを保ち、またすぐに恋しくなる味。

竹屋の店先の看板に手書きで書かれた「だまされたつもりでぜひ一度」のコピー。
初めて見る人は思わずクスッと笑ってしまうが、一度だまされたら最後、間違いなく虜になってしまうので、くれぐれもご用心を。。。

(訪問日)2018年6月10日

竹屋 お店情報

ジャンル   とんかつ
最寄駅   JR新小岩駅南口  徒歩4分
電話    
03-3655-2382
住所     
東京都葛飾区新小岩1-32-8
営業時間 
【火〜金】11:30~15:.00
     【土、日】11:30〜15:00、17:00〜21:00
定休日    月曜日、第3火曜日
その他    
全面喫煙可

東京都葛飾区新小岩1-32-8
だんくろー

ごくごくフツーの会社員。 仕事はほどほどに、Sax演奏、一人旅、飲み歩き、歌舞伎鑑賞、読書をこよなく愛す。 老後は「旅をするように生きる自由人」になるのが夢。

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だんくろー