Categories: 名店探訪記

蘇我駅近くの魚河岸料理の最高レベルの名店『芝浜』

先日会社の創立記念日の休日に、気の置けない友人2人と千葉でゴルフをした。
その帰りに反省会をしようということになり、JR蘇我駅前で居酒屋を探すことになった。
全く土地勘のないところで、時間も夕方の4時前後、店舗自体も少ないし、この中途半端な時間に開けているところは更に少ない。
仕方なく某チェーン居酒屋に入ろうと向かっていると、道の向かい側に飲み屋らしき建物を発見。
看板を見ると青地に金文字で『鮮魚小売 魚河岸料理 芝浜』と書いてある。
近づいてガラス越しに覗くと、左右の冷蔵ケースに魚がたくさん並んでいるのが見える。

「なんだ、普通の魚屋さんか。。。」
一瞬そう思ったが、眼を凝らしてよくよく見ると店の奥の方にテーブルが見える。
「奥は居酒屋になってるみたいだけど、まだ準備中だな。」
連れのT君が残念そうに言った。

半ば諦めかけたが未練がましく暫く店内を覗いていると、人影がこちらに近づいてくるのが見え、ガラス戸が開いて若女将といった風情の女性が出てきた。

「すいません、開店は4時半からで、まだ準備中なんですけど、もしよろしかったらどうぞ。」
「えっ、いいですか?」
みんな内心ラッキーと思いながら店内に入ると、テーブルの上には丸める前の大量のおしぼりが置かれ、席にはいくつかのビニール袋が散乱して、いかにも開店準備中という状況が見て取れた。
「すいません、すぐ支度しますので、飲みながらお待ちください。お飲み物はいかがいたしましょう?」
若い女将さんのやさしい笑顔と言葉に何だかとても居心地の良さを感じる。

店内を見渡すと、カウンターは無く4人掛けテーブルが4つほどあるだけで、決して広い店ではない。
(後で聞いたが2階にも10人ほどは入れるスペースがあるとの事。)
正面の壁には大きな白板に、サラダ・珍味、焼き物・煮物、ご飯、汁物等に整然と区分されたメニューが書いてある。
その品数は約90種ほどでかなり多く、迷ってしまうこと必至だ。

「うちは魚屋なんで、ぜひお刺身を召し上がってください。」
女将さんの上品な声に促され、まずは刺身の盛り合わせをおまかせでお願いすることにした。
「3名様なので盛り合わせは2人前で十分だと思います。お値段は2,000円です。」
あらかじめ値段を教えてくれるとは良心的だなと思いながら、まずはビールで乾杯。
日焼けするほどの強い日差しの中でプレーしたので、冷えたビールが身体に染み入るように美味い。

しばらくすると刺盛りが運ばれてきた。
中トロ、しめさば、ハタ、イカ、ホタテ、カツオ、タコ、鯵なめろうと盛り沢山である。
しかもさすが魚屋直営の店だけに鮮度抜群で美味い。
「ひょっとして、この店大当たりかも。。。」
みんな何となくそう思い始めていたが、ふと気づくといつの間にか全てのテーブルの上に「予約席」の表示板が置いてある。
我々の確信はますます強くなっていった。

そのうち開店時間の4時半をまわったので、フグの唐揚げ、丸干しいわし、かます焼き、鱧の湯引きなどを追加注文した。
どれも想像以上に美味く、言うことないほど満足だったが、特筆すべきは酢味噌で食した鱧の湯引きで、私は上京してから20年以上経つが、東京でこれほど味が濃く旨みの深い鱧を食べた記憶がない。
関西出身の私が昔に家族と食べていた鱧の味が思い出されて、とても懐かしく感慨深い気持ちになった。
その間にも女将さんの気遣いは細かく、料理の上げ下げも含めて万事抜かりのない気持ちの良い接客であった。
そしていよいよ屋久島の芋焼酎「三岳」のボトルも空いて、最後は鉄火とたらこの細巻と蛤汁で締め、宴は終わった。

「この店最高だね。良い店見つけたね。」
全員大満足で、次回のゴルフの際にもぜひ予約して再訪しようと大いに盛り上がった。
そしてこれほど食べて飲んで、お勘定は3人で11,000円。
驚愕の安さ。。。
最初に目指したチェーン居酒屋に入っていたとしたら、絶対ここより値段は高くて味は不味いことは十中八九間違いなかっただろう。
この店を見つけて良かった。出会えて良かった。

JR蘇我駅西口徒歩約1分の『鮮魚小売 魚河岸料理 芝浜』。

家族経営の素朴な雰囲気のなか、「料理の質」、「コストパフォーマンス」、「ホスピタリティ」
どれを取っても最高レベルと言っても過言ではない清々しい店であった。

(訪問日)2018年6月4日

芝浜 お店情報

ジャンル 居酒屋
最寄駅  JR蘇我駅西口  徒歩1分
電話   
043-266-0039
住所   
千葉県千葉市中央区今井2-4-8
営業時間 
16:30~
定休日  不明
その他  
予約可

千葉県千葉市中央区今井2-4-8

 

だんくろー

ごくごくフツーの会社員。 仕事はほどほどに、Sax演奏、一人旅、飲み歩き、歌舞伎鑑賞、読書をこよなく愛す。 老後は「旅をするように生きる自由人」になるのが夢。

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だんくろー