Categories: 名店探訪記

世界の山ちゃんはリーマンの味方だ!

先日、会社帰りに一杯引っかけようと、会社の先輩と飯田橋の駅裏をぶらぶら探索していると、あの手羽先で有名な「世界の山ちゃん」の看板を見つけた。

「へぇー、こんなところに店ができてたんだ」と思いながら店内を覗いてみると、案の定、学生と思しき若い層の客で席はかなり埋まっているようで、アルバイトらしき店員さんに「2名なんだけど空いてる?」と尋ねると、奥に入って確認した後、店内の一番奥まったところにある、歪な形のテーブル席に案内してくれた。

 

向かい合った席の片方に柱が張り出していて、ちょっと窮屈なのだが、まぁこの際贅沢は言ってられない。

こんな週末の込み合う時間帯に、予約なしで座れただけでもラッキーと思わねば。

 

本日の私の連れはFさんという、先日定年を迎えたばかりの、とぼけた風情のおじさんで、彼もこの店は系列店も含めて初めて入ったとのこと。

この人、実はお酒は一滴も飲めないのだけれど、食べることは大好きで、飲み会に参加するのも苦にならない、人好きで陽気なアラ還おやじで、私とは時々こうやって一緒に帰る間柄。

本日は、Fさんが先週一週間、定年の特別休暇を使って行ってきたハワイ旅行の土産話を聞くための宴席だ。

私もここの有名な一品「幻の手羽先」が、見た目は胡椒まみれで辛そうだけれど、クセになるほど旨いという評判は聞いている。

しかしかなり以前に池袋の店に一回行ったきりで、味の記憶も定かでない。

私は冷酒、Fさんはウーロン茶でひとまず乾杯した後、一通りメニューを眺めてみる。

まずはこの店に来たからには「幻の手羽先」は外せないだろう。

ほう、刺身もけっこう種類があるな。

ん?コロッケもうまそうー、

あっ、チーズの串揚げもいいな~。

餃子もジューシーな感じで、そそられる。

 

あれこれ(特に揚げ物に)目移りしながら、メニューを詳細に精査し、何とか初動の注文を完了し、ようやく落ち着いて飲み始める。

Fさんのハワイ旅行の記念写真をスマホのスライドショーで解説してもらいながら鑑賞しているうち、頼んだ料理がテーブルに並び始める。

コロッケ、チーズ串揚げは可もなく不可もなくといった感じであったが、そのなかでネギチャーシューにはちょっと心ひかれた。

 

格別に美味いというほどでもないが、非常に柔らかくジューシーで酒によく合う。

ネギとタレと肉の絡み具合が絶妙である。

 

そうこうしているうちにいよいよ「幻の手羽先」が運ばれてきた。

一人前5本の手羽先が無造作に皿に盛られている。

一本が程よい大きさで、褐色のタレに浸された表面は、灰のような胡椒でたっぷりと覆われている。

かぶりつくと、まずガツンと胡椒の香りと痺れが口の中に拡がり、そのあと肉の食感とタレの甘い旨みが追っかけてくる。

 

前歯で手羽肉を骨から削ぎ落としながら最初の一本を食べ終わると、すかさずもう一本に手が伸びる。

ほんとだ。。。

なるほどこれはクセになる。

このちょっと濃いめの味と冷酒が、お互い惹かれあう相思相愛のカップルのように、交互に求め合うことをやめない。

その強大な力に抗しきれない私は、気が付くと一人で一気に5本を平らげていた。

 

そのあとも出し巻玉子、うずら玉子フライなどを頼んだあと、いよいよ締めのじゃこ梅チャーハン。

心の中に食い過ぎを反省する後ろめたさがよぎるが、もう止まらない。

乾燥梅の歯ごたえとじゃこの塩気に箸がどんどん進んでしまう。

チャーハンをつまみに、先ほど日本酒から切り替えた「赤からり芋」もくいくい進む。

まだまだ入りそうな感じだったが、お互いの健康のため本日はこれにて終了。

お会計は二人で5,000円ちょい、いやー、なんと財布に優しいこと。

 

これは気取らない普段飲みには最高の店だ。

再訪を誓い、大満足で午後9時過ぎに帰途についた。

だんくろー

ごくごくフツーの会社員。 仕事はほどほどに、Sax演奏、一人旅、飲み歩き、歌舞伎鑑賞、読書をこよなく愛す。 老後は「旅をするように生きる自由人」になるのが夢。

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だんくろー